時効の援用で借金のことがバレるか
1 時効援用手続きの流れ
時効援用の手続きを弁護士に依頼すると、弁護士は、対象となる負債について消滅時効期間が経過しているかどうかを調査し、消滅時効が完成していれば内容証明郵便を対象業者に送付して消滅時効の援用を行います。
この一連の手続きは、依頼を受けた弁護士と対象業者の間のやり取りで完結しますので、このやり取りそのものが同居のご親族やご勤務先に漏れることはまずありません。
つまり、時効の援用手続を行うことそのものにより、借金がバレることはまずありません。
そのため、時効の援用で借金がバレる場合、時効援用手続きそのものではなく、以下でご説明するとおり、それに付随する手続きなどでバレるということになります。
2 業者からの郵便
業者からの借入金等について返済をストップし、ストップした直後は督促状などが来ていたものの、しばらくして来なくなると、そのまま放置してしまう方も少なからずいらっしゃいます。
しかし、当該業者が貸付金債権を債権回収会社に譲渡すると、当該債権会社は債務者の現住所を、住民票を取り寄せて調査し、督促状などの書類を債務者に送付します。10年以上何の音沙汰もなかったのに、突然督促状等が届いた、というケースも珍しくありません。
この督促状には借金の金額などが記載されていますので、届いた郵便を同居のご家族が開封して見てしまった場合、同居のご家族に借金を知られてしまいます。
これを回避するためには、返済を長期間停止している借金について督促状等がしばらく届いていないからと言って無視せず、督促状等が届く前に時効援用の手続きを弁護士に依頼する必要があります。
3 書類の管理
弁護士に時効援用の手続きを依頼すると、委任契約書等の書類を作成し、依頼者の方はその控えを保管することになります。
また、弁護士による時効援用通知は内容証明郵便で発送し、配達証明書も申請しますので、その内容証明郵便の控えと配達証明書の原本を手続き終了時に依頼者の方にお渡しすることになります。
これらの書類について、依頼者の方はご自宅で保管すると思いますが、保管の方法が杜撰だと、同居の家族に見つかってしまい、借金が存在していたことが知られてしまうことにもなりかねません。
そのようなリスクを回避する方法としては、物理的な保管が必要な紙媒体の書類は廃棄し、そのデータ(PDF)を保管しておくという方法もあり得ます。
内容証明郵便の控えと配達証明書は時効援用手続きを行ったことの証拠となりますが(時効援用手続きの有無が争いとなった場合に証拠となります)、時効援用の相手方は消費者金融、クレジットカード会社、債権回収会社ですので、後日時効援用手続きの有無が争われることはまずありません。
弁護士とのやり取りは、最近ではメールが多くなっていますが、そのメールを同居の家族に見られてしまうと借金のことが知られてしまうことにもなりかねないですので、弁護士との連絡内容の管理も大事です。