時効の援用とブラックリスト
1 ブラックリストとは
消費者金融でお金を借りたり、クレジットカードを作成したりすると、CICやJICCといった指定信用情報機関に契約者についての情報(氏名、住所、電話番号など)や契約についての情報(契約年月日、貸付金額など)が登録されます。
この信用情報に、延滞や債務整理といった事故情報が登録されると、いわゆる「ブラックリスト」となります。
2 信用情報の状態
⑴ 時効援用を行うかどうか検討している方は、借入金債務(ローン、キャッシング)や立替金債務について長期間延滞し、一切返済をしていないということが前提となります。
債務の一部でも返済してしまうと、時効更新事由である債務承認となり、消滅時効期間は0から再スタートとなってしまうからです。
それゆえ、例えば消費者金融のA社から50万円を借り入れ、その1年後から返済をストップして放置している場合、信用情報に登録されているA社からの借り入れについての情報には、延滞という事故情報が登録され続けることになります。
⑵ ただし、消費者金融やクレジットカード会社は、回収困難となった自社の債権(貸付金債権、立替金債権)を債権回収会社に譲渡していることがあり、その場合、原債権者である消費者金融やクレジットカード会社との契約は債権の移管により終了することになります。
契約が終了すると、これらの業者との契約について信用情報機関に登録されている情報は、信用情報機関が定める一定期間が経過すると削除されることになります。
他方、これらの業者から貸付債権等を譲り受けた債権回収会社が信用情報に登録されることはありません。
つまり、債権回収会社に譲渡された債権については、延滞が続いていても、一定期間経過後にその債権についての情報は信用情報から消えることになります。
3 時効の援用とブラックリスト
上記2⑴のケースで消費者金融やクレジットカード会社に対し時効援用手続きを行うと、負債が確定的に消滅しますので、当該業者との契約は終了となり、その旨が信用情報に登録されます。
そして、その契約情報は、信用情報機関が規定する一定期間経過後に削除されることになり、それにより信用が回復することになります。
他方、上記2⑵のケースで、債権譲渡を受けた債権回収会社に対して時効援用手続きを行っても、当該会社は信用情報には登録されていませんので、信用情報に影響を与えることはありません。
つまり、信用回復という点では大きな意味はなく(債権譲渡を行った消費者金融またはクレジットカード会社の情報が債権譲渡から一定期間経過した後に信用情報から消去されることにより信用が回復することになります)、債権回収会社からの督促等を終わらせるという点で意味があることになります。